もっとも敷居の低いもみほぐし教室の主催者、コットータンこと奈良貞さんに特別インタビュー

コロナ禍直前の2019年、50歳の時に初めて月間100件超えと同時に年間1000件の指名を達成しました。ご存知の通り、2020年以降サロンは厳しい状況におちいりましたので、あと1年遅ければ到達できませんでした。

はい。そういう日が多かったです。

新人と言っても僕は転職してセラピストになったので、その頃すでに42歳のオヤジでした（笑）

それまで料理人として現場の責任者を務めていた僕が、いきなり１年生セラピストになり、施術中のアクシデントや、クレーム、親指の負傷など、慣れない環境でのストレスや悩みは絶えなかったです。

セラピストになって一番危機感を感じたのは左の親指の負傷でした。もみほぐしはもちろん、物に触れることすら激痛で出来なくなった時は「もう、終わったかも」と思いました。

親指を痛めた原因は、親指を痛めるような施術をしていた事でした。1年間は左の親指を使うのをやめて、親指に匹敵する丁寧な肘圧を武器にする練習をしました。そしたら少しずつ親指の痛みが改善されていきました。

でもね、痛みは１年かけて引いたものの、3年間はマネキンの指のように固まって動かなかったんですよ。そんな中、僕は、お客様を途中で帰らせてしまったり、奈良貞以外のセラピストでお願いします！という〈痛い指名〉をされたり…。泣きっ面に蜂状態の時期でした。

僕もかなり落ち込みましたが（笑）この仕事の面白さに気づく時期でもありました。親指が使えない状況を逆手に取り、肘の技を磨いたり、伸びて固まった親指を《特殊な道具》として活用したり。その工夫を楽しむ自由さが、リラクゼーションセラピストの醍醐味だと気づく事も出来たんです。

自分を見つめ直すことはもちろんですが、何より、圧倒的な施術の数をこなして実力をつけていきました。1日の平均が9.5時間前後、1日の最高記録はジャスト800分（13時間20分）です（笑）

こんな無茶なやり方は賛否両論ありますが。長時間、施術しても怪我をしない施術を身体で覚えるために、僕にとっては必要な経験でした。

はい。元々、個別のお客様の特徴を忘れない目的で10年書いてきました。ですが見返すと、カラダの右側と左側で辛くなる部分には特徴があること。しかも、その特徴は多くの人に共通するという事が見えてきたんです。それに気づいてから、施術の【命中率】が上がって、指名も急増しました。

これは、僕が施術で感じていることやコツを、セラピストさんに対してどのように伝えれば分かりやすいか研究しているノートです。その人に合った方法で分かりやすく伝えるのが、今、僕の課題なんです。

なかなか味のある絵でしょ？（笑） 味だけ自信あるの（笑）

いつもお客様を施術した直後に、会話内容や、要望されたことをメモします。そうしないと僕、すぐ忘れちゃうんです（笑）。

セラピスト歴３年目くらいですかね。

その頃まだ3人の子供も手のかかる時期で、仕事同様、試行錯誤の連続でした。プライベートな課題に向き合って得た教訓が、その後のお客様の見え方や施術に対する考え方に、大きな影響を与えてくれました。

色んなお客様と接する仕事ですから、僕も、夫とか父親など未経験の立場を生きる経験は、とても大きいと気付かされました。そんな時期を経て、8年目から10年目にかけて指名数が急増し、月間最高109件を、年間で1059件を頂くことが出来ました。

子供の頃は、よく母の肩を揉んであげたり、父の足や背中を踏んだりしていたんです。当時は今みたいに気軽にもみほぐしが受けられる時代ではなかったので、いま思えば、両親にとってのもみほぐしサロンは僕だったのだと思います。

中学時代に発症した両膝のオスグッドは、僕の本当に辛い思い出で、そのことも影響して、高校では、講座の科目に指圧を選択して学んでいました。放課後も先生の治療院によく寄り道をしてはお茶を頂きながら、いろんな話を聞かせてもらっていました。

高校の文化祭では肩揉みサロンもやりましたよ。けっこう緊張したのを今でも覚えています（笑）。教室を使って生徒や先生、父兄を相手に10分100円くらいで営業したんです。現役高校生のプロセラピストですね（笑）。

もみほぐし教室を通じて、僕にとっても参加者にとっても、新しい発見を楽しみながら、成長できる場を作り続けたいと思ってます。

はい！参加者さんの悩みを聞き、一緒に解決方法を考える事で自分自身も引き出しが増えていくのが楽しいです。

規模は小さくても、参加者と一緒に学びながら成長できる場を作るのは、本当にワクワクします。 施術を「仕事」としている人だけではなく、家族や友達に施術をしてあげたいと思う方とも関わることができたら嬉しいですね

まさに、僕のもみほぐし教室の第1号の受講生は、普段、施術を受けて下さっているお客様だったんです。奥様をもみほぐしで癒す〈攻略法〉を実技をまじえてお伝えしました（笑）リラクゼーション施設で施術を受けるのもいいけど、家にもみほぐしの上手い人いたらより最高じゃないですか？

もみほぐし教室に参加してくれる、プロのセラピストさんとは、セラピスト業界にいる僕たちが常識だと思い込んでいる事と、お客様が本当に望んでいる事の、ギャップを埋める施術を一緒に研究しています。僕のこれまでの失敗が誰かの役にたつときが来たぞ！と思うと、毎回熱が入り、お客様の施術するよりヘトヘトになります（笑）。

ありがとうございます。もみほぐしセラピストの役目は、お客様の疲れや不調を《もみほぐしを楽しんでもらいながら》癒すことです。そのためには僕たち自身の練習環境も、楽しくリラックスできる場であったらいいな、と思っているんです。

セラピストさんのお悩みはジャンル問わず、どんなものでも受け付けています。初心者からベテランまでみなさん、驚くほど遠い所からも来てくれています。練習しながら疲労回復、リフレッシュの場にもしてくださいね。待ってますよ！